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WWL探究基調講演会と座談会がありました!(5/23)

体育館での講演会の様子


5月23日(木)、長崎大学経済学部の山口純哉先生による「WWL探究基調講演会」をおこないました!

山口先生は、地域経済学がご専門です。阪神淡路大震災の復興調査に参加され、地域社会の持続に興味を持たれ、地域経済学を専門とされました。

長崎の地域課題について、グローバルで多様な視点からアプローチされるお話は大変興味深く、探究活動への学びの意欲を喚起します。

また、先生は長崎県地域限定通訳案内士試験のテキストを監修されたり、テレビなどメディアに出演されたりと、長崎の魅力を社会に発信している長崎県民にはおなじみの笑顔が素敵な先生です。

今回は、高校1年生を対象に、講演会、また希望者による座談会という構成で実施しました。

講演会では、「ともによき世を創るために~探究活動はじめの一歩~」と題し、先生のこれまでの研究内容や、探究活動をおこなううえでのプロセス、テーマ設定の手法、課題の実例などをお話いただき、まさに探究活動の基礎となる学びの決定版ともいえる内容で、生徒の学ぶ意欲が強く喚起されました。

特に、探究の学びのプロセスが本校の学校設定目標「WWL7」につながることを強調され、本校の目指すべき人材像との一致に、生徒達も納得を得ながら講演に聴き入っていたたようです。生徒の感想を下記に抜粋いたします。

「理想と現実の差の問題を考えることが、問題解決プロセスにとって重要なことだと分かりました。また、その問題解決プロセスがWWL7と繋がっていることを知ることができ、意義を感じました。」

「自分が固定概念にとらわれすぎていたことにきづいた。魚を描く例を紹介いただいたが、日本人ならではの左向きの魚の絵を書いてしまい、普段の自分の経験から、魚は左向きである、という考えが染みついていた。また、WWL7の中での情報分析・活用力が必要であることを実感した。」

「探究テーマの設定をする上での三つの視点(what,how,why)などわかりやすく説明されていて、今後、探究をしていくうえでとても参考となるものばかりでした。」

「社会を変えたいと思い、子どもたちに良い教育をするために大学で働いていらっしゃるということに、感銘を受けた。税金や自然災害、障害など様々な問題に向き合い、社会のことを考えている山口先生は本当にすごいと思った。 」 やはり、一流の先生の一流の講義に触れることが、生徒の向上心、心のエンジンに火をつけることを実感した講演会となりました。

座談会の様子

講演会後の座談会では、希望者約30名が参加!どんな質問にも丁寧に、そして学問的な深さと面白さに満ちた解答をいただき、生徒の学びはさらに深まりました。

ある生徒からは、「地震などの災害についてですが、実際は予測と違うところで地震が起きたりと、その予見というのはかなり難しいようです。先生は災害と経済学について研究されてきたとお聴きしましたが、この状況をどう捉えていらっしゃいますか」との質問がありました。

それに対し、先生は「減災」の必要性を強調。災害は必ずどこでも起きる、という意識を持つことが重要であり、起こったときに、するべきことがわかっていれば慌てない。日本は欧米諸国と違い、備蓄をあまりしていないことに言及され、意識の啓発についてお話がありました。

「実験や調査などが行いにくい内容について、探究を調べ学習で終わらないようにするにはどうすればよいか」という質問に対しては、「論理性」と「共感性」の重要性を強調。

研究と違い、仮説の検証というものにこだわるだけではなく、探究内容に根拠としての「論理性」があるか、また、探究内容が自分以外の人に納得感のある「共感」を得るものではあるか、という点が探究では評価されるというお話がありました。

探究で大切なことは、仮説どおりうまくいった、ということではなく、やったけど、結果が出なかった、ということに気付くことができたこと自体が結果であり、その観点が大切である、というお話を受け、探究をこれから行う1年生は、安心感とともに挑戦への意欲を喚起していました。

また、「自分の分野から一番遠い人やモノと触れ合うことが、イノベーションを行う上では大切である」というお話がありました。例えば休日に美術館に行ったり、映画を観たり、またはニュースを毎日見るだけでもいい。自分の専門分野から遠いところにヒントがあることが多い。

アインシュタインは、「常識とは18歳までの経験に基づくもの」という言葉を残しました。自分というものはもっておいてよい、ただ、意識を変えずに、習慣を変えて、楽しみながら色々なことにチャレンジすることの必要性について、お話をいただきました。

美術系の進路を考えている生徒からは、「アートと経済学とのつながり」について質問がありました。

先生は、岩手県でアートブランド事業を手がける企業「ヘラルボニー」で、まさに芸術的な障害者のアートが高い利益を生んでいることを紹介しました。いまの時代、マーケットは世界に広がっており、長崎で売れなかったとしても、他の地域や国では売れるかもしれない。希望をもって芸術活動に取り組むよう、生徒に激励を贈りました。

とても優しく、希望に満ちた楽しい座談会は大盛況のうちに終了しました。

山口先生、たくさんの貴重な学びの機会をいただき、本当にありがとうございました。何よりも生徒たちは、先生の慈愛に満ちたお話に勇気と希望をいただきました。

これからも長崎東を、何卒よろしくお願いいたします!


講演会が始まりました
座談会にて山口先生
座談会で熱心に聞き入る生徒たち
記念写真